鼻血、その素晴らしきおじゃま具合

鼻血の面倒なのは、本人の頭自体は平気ってことなのである。
血というインパクトがあるから騒がれるけれど、痛みとかはないし、命の危険とかがあるわけでもない。それなのに無視するわけにもいかず、隠そうとしても勝手に出てくるのである。
実際、どんなに外面をつくろっても、鼻血をだしたら「鼻血男」に成り下がるのだ。鼻を小突くだけで、プライドなんかももぎ取れる。


自分は去年くらいから花粉症になって、それ自体はそこまで酷い症状にはならない。ただ、それと鼻炎がかかってくると、一気にひどい状況になる。
それで鼻をかみすぎると、鼻血が出やすくなる。こうなると三重苦で、鼻水が出てきているのに鼻血のせいで強く鼻を噛むことができなくなったりするのだ。
そもそも起きそうな前兆は少し前に感じていた。


お風呂から上がった後、腕に血がついているというのは、随分ぎょっとするものである。こういうことは、長い鼻血人生の中でもそんなにない。奥のほうで鼻血が出ると、「血の気配」を感じて、上手くすれば鼻の中で全ての問題を解決できたりするのだ。
そういう気配がない、外に近い場所での出血は、とてもめんどくさい。なにせ外側に近いから、知らぬ間に出ている。
お風呂場の時も、もしかしてと風呂場の中を確認したら、点々と血の跡が残っていたりした。こういう時、もし自分の部屋で殺人事件が起きたら、鑑識を戸惑わせるだろうな、といつも考える。


今日の仕事中にもそんな鼻血の出方をしてしまって、他の人との用事があったというのに、タイミングを逃すことになってしまった。本当にこれは存した気分になって、鼻というものの構造自体に疑問を覚える。

自分の鼻は特に構造が悪いらしい。というのも、骨の位置がおかしいらしく、尖った骨が皮のすぐ近くにあるとかなんとか。数年前に、その手術をする? という風に言われて断ったのだけれど、鼻血が本当に出なくなるなら、正直やっておくべきだったかな、と今は思う。
なにせ若いころならともかく、年を取るごとに鼻血で失われるものが多くなってくるような気がするのだ。けれど、そのためだけになにかするのも、というわけでなにもせずに、このまま過ごしていくのだろうと思う。