古本屋で見つけて購入。名前は知っていて、ちょっと縁があったので。
濃密で、緻密な文章と、暗く濃密で、けれど少しだけ晴れがある内容、そんな本でした。
全体を通しているのは、血の系譜。そして、それに縛られる一人の男。連れあいとなった女。
この話が、私小説なのだと聞いて、ようやくピースがはまったような、そんな気持ちになった理由は、うまく説明ができません。
表題の忍ぶ川は暗さと明るさが綺麗にまとまっていて、それは出来すぎと思われる部分もある。でもたぶん狙ってじゃなかろうか。
つまりは暗さの分だけ明るさが浮き立つ、ということ。
そして、それがこの本の良いところかな、なんてことを思いました。