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- 作者: 高橋源一郎,内田樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/04/10
- メディア: 文庫
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大学一年の頃、部会が終わった後の飲み会で、いつも通りのメニューをつっつきながら、先輩と話していて、文学ってなんでしょう? と聞いたことがあります。
大学に入るまでは、多少読書量が多いくらいで、それもいわゆる文学的なものに触れることはあんまりなく、さらに言えば文学部でもない。ただイメージだけがあって、とらえどころがない「文学」というものに、つまり解答例みたいなものを示して欲しかったのだと思う。
先輩は、「つまり『暗夜行路』が純文学」ということを言ってくれたのだけど、ははぁなるほど、としか答えられず、つまりまぁ理解出来ていなかった。全然わかっていなかったし、今もそんなに分かっていない。今もなにか切れ端を掴めた気もしなくもないけど、掴めたと思ったら勘違いなんて事を何回か繰り返している。
その時の頭の中ではエンターテイメントの小説はある程度はっきり存在していた。つまり「面白い」、とつく小説。これについても変化はしたけれど、基本的には変わらず。
けど、文学は分からない。「面白い」ものがそうなのか? むしろ「つまらない」ものがそうなのか? その時の頭の中にあったので、一番近いのは「上手い」小説だったと思う。もしかしたら、だからこそ翻訳の小説を読む気は起きなかったのかもしれない。
けど、「面白い」でも「上手い」でもない小説があって、言葉にするとしたら「凄い」なのかもしれないけど、「凄くもない」ような気もする。じゃあなんなんだ? わからない。ただ自分の中で何かが変わっている。そんな気がする。